依然

体調が良くなる事はなく、大人しく寝疲れているにも拘らず眠ると、僕はまた夢を見た。
次の夢は凄かった。
人が死にかけている。
性別は分からない。
周りが暗くて分からない。
それでも分かった事がある。
死にかけているモノから「人殺し」と叫ばれた。
僕は驚いた。
そのような状況に出合った事もなければ


何故、僕の右手には血のついた鋭利な刃物を握っているのか


分からない。分からない。思考が追いつかない。
僕が気づいた時にはすでにモノは死に掛けていた。
そもそも気づいたって何をどう気づいたのか?
それまでそこで気絶でもしていたのだろうか?
それすらも分からない。
ただ、今分かっている事は、
人ヲ殺ス為ニ使ッタ凶器ヲ持ッテイル事ト死ニカケノモノガ僕ニ向カッテ「人殺シ」ト。
僕じゃない。僕じゃない。僕じゃない。
何故僕が人を殺さないといけないのか?そもそも死に掛けているモノなんて知らない。
動機も無い。
それでも僕がやったというのならそれは純粋な殺意で……
嘘だ。嘘だ嘘だ嘘だ!!!!!!!!!
僕は恐怖からその場に居続けるのが無理と頭が解析してここではない何処かにと逃げた。
その走り去る背中にもまだ近くに居るように聞こえてくる。


「人殺し /  人殺し    人殺し   ■頃氏  人殺し
   人殺し 人殺し  ヒトゴロシ 人殺し   ひとごろし」


その声が聞こえなくなるまで耳を塞ぎ続けた。


例え、意 味 が 無 く と も